「男も女も適齢期になったら結婚すべきである」という中国の伝統的な考え方が変わりつつある。
民政部が発表した統計によると、2018年第1四半期の全国の婚姻件数は301万7000組で、前年同期比5.7%減少した。中でも、上海、浙江、天津などの経済が発達している地域で婚姻率が比較的低い。5年前の婚姻件数428万2000件と比べると、18年第1四半期は29.54%減少した。専門家は、結婚適齢期人口の減少、晩婚化、都市化の加速などが婚姻件数減少の原因だと分析。
民政部の統計を見ると、地域ごとに大きな差がある。
北京・上海・広州などの経済が発達している地域は婚姻率が比較的低く、婚姻率が最も低い5都市は上海、浙江、天津、江西、山東となっている。婚姻率が高い5都市は貴州、安徽、チベット、青海、河南だが、これらの地域は1人あたりGDPも低く、婚姻率と経済発展レベルは相反するとわかる。
婚姻率の低下、若者はどう思っているか
北京しで会計士をしている于賢さんは、「大都市は生活リズムが速く競争が激しく、会計業界は残業や出張が日常的で、デートする時間も見合いをする時間もない」と話す。「恋愛する余裕もないのに、結婚するはずがない」というのが都市部で奮闘する若者の現状である。恋愛が順調な若者でも、多くが「結婚を容易に口にできない」と考えている。上海市で働く徐珊さんは、「生活コストが上がり、結婚後の出産と育児の費用も考えなければいけない。個人から家庭に変わるのは容易なことではない」と話す。
経済が発達している地域は不動産価格が高く、若者が結婚を渋る要因になっている。于賢さんは、「家がなければ、相手のお母さんも結婚に消極的になるに違いない。ルームシェアも不便。北京のように不動産価格が高ければ、35歳までに買うのは難しい」と話した。
都市化が拍車かける
中国人民大学社会・人口学院院長の翟振武教授は、結婚適齢期人口の減少、晩婚化、都市化の加速は2013年以降、中国の婚姻件数減少の主な要因になっているとの見解を示す。
中国の出生率は1900年の2.106%から1997年には1.675%に低下し、その後も低下し続けている。翟振武教授は、90年代から出生数は減少し続け、今では婚姻件数減少の最大の要因になっていると説明。この変化は想定内のことで、以前の予想と一致しているという。
翟振武教授は次のように分析する。現在の中国の成人人口の約半数が高等教育を受け、修士や博士課程を学ぶ学生も年々増加し、若者の独立、就職、結婚の年齢も高くなっている。以前は若者の多くが23~24歳になると結婚していたが、現在は高等教育の普及、教育を受ける年数の増加により本科卒業年齢は23歳で、結婚する年齢も高くなっている。
アナリストは、都市化の推進と経済成長も若者の結婚意思に影響していると分析。大量の人口が都市部に流入し、経済成長を牽引すると同時に生活コストも上がり、市場競争が激化した。経済成長レベルの向上、婚姻率の低下は世界的な動きである。
結婚・出産の奨励を強化すべき
年々低下する婚姻件数について、多くの専門家が経済・社会発展の必然的な結果であり、社会は多元化、個性化する個人の選択を尊重し、若者により多くの選択肢を与えるべきとの見解を示す。
中南財経政法大学人口・健康研究センターの石智雷主任は、「地域経済の条件が良いほど、独身者と個人の生活スタイルの選択肢も広がり、発展レベルが高いほど、社会は多元化する。未婚、独身、離婚のどれも個人の選択である」と話す。
しかし、5年前と比べて、婚姻件数は126万5000件減少しており、この変化は政府レベルで関心を寄せる必要がある。北京大学社会学の陸傑華教授は、「中国では結婚と出産が密接に関わっている。西側諸国では未婚出産、事実婚などはよくあることだが、中国では認められていない。そのため、婚姻率の低下は出生率に影響し、人口と構造、最終的に国の経済成長にも影響する」と述べた。
中国は高齢化社会に突入し、婚姻率と出生率の低下は高齢化社会をより深刻化させる。
専門家は、両者の密接な関係について、国は同問題を重視し、真剣に研究し、相応の政策を打ち出し、若者の結婚と出産を奨励すべきとの見解を示す。例えば、結婚休暇、出産休暇を適度に延長し、過程と仕事のバランスが取れるよう促し、結婚と出産を促進する。そのほか、政府は家庭に友好的な公共政策を打ち出し、世帯単位で納税する財政政策を講じて家庭の税負担を軽減してもよいだろう。また、一線都市には多くの優秀な青年が集まっているが、不動産価格が高く、多くの人が若い時に自立して家庭生活を始めるのは困難である。そのため、専門家は不動産価格の安定、低賃料の賃貸住宅の提供などを通して圧力を緩和する措置を提案した。
2018-06-28
From:チャイナネット